COLUMN

2019年11月5日

ブランディングにつながる空間づくり Vol.3
ストーリーを発信する空間づくり:相合家具製作所 東京ショールーム


デザイナー 平野大偉
相合家具製作所 東京ショールーム
飲食店『千房』や『TORAJA COFFEE』など、
多くの店舗やオフィスの設計を手がけている平野大偉さん。
今回はインタビューの中でも特別コンテンツとして、相合家具ショールームとオフィスを中心に、
ブランディングにつながる空間づくりのお話をうかがいました。
相合家具の大阪でのショールームと本社オフィスの設計を手がけられ、次は東京ショールームです。東京ではどのようなことを心がけられましたか?
平野さん(以下:平野)
大阪ショールームではコミュニケーションのためのカウンターや空間を用意しましたが、東京ではさらに進化して、具体的なコンテンツを予め盛りこむように考えました。新人でもベテランでもあまり差なく、基本的に誰でもショールームを運営できるような手法を検討したんです。
ここには新商品を、ここにはこんな商品を、といったことを順路に沿って各スペースに配置しながら、そしてブランディングとして落としこんでいったんです。相合家具では、いまは9割くらいはオリジナル商品を扱っているとおもいますが、そういったオリジナル商品の開発ストーリーを知っていただくための専用の空間をつくりました。ただ商品を並べるだけでなく、企業からの情報発信のスペースとして活用し、相合家具のイメージをさらに高めていこうと考えたんです。
メインショールームには「MATERIAL LOUNGE」(マテリアルラウンジ)が設けられています。ここはどのようなスペースですか?
平野
カウンター越しにマテリアルやパーツが並ぶ壁があって、まるで高級ブランドのバッグなんかを買いに来たような雰囲気にしています。お客様からの具体的な要望を見せて売るというだけなら、誰でもできますよね。でも、ぼくたちのような設計者側の人間からすれば、信頼できるスタッフっていうのは、これからつくっていく空間の完成形までを見越して、同じ価値観のもと、専門知識でアドバイスしてくれる方々なんです。ここはそういったコーディネートができるカウンターです。また、ショールームと実際の現場で色目など違和感が生じないよう、照明の色温度をタブレットで調整できるシステムを入れています。
相合家具のショールームやオフィスのほか、多くの店舗設計なども手がけておられます。デザインやブランディングのお仕事をされていて、醍醐味を感じられる瞬間というのはどんなときですか?
平野
やっぱり、実際にその空間をつかっているひとたちの反応に触れたときですね。クライアントに褒めてもらうことはあっても、お店をつかっているひとの意見を実際に聞けることってあまりないから、とても貴重なんです。先日、ぼくがデザインを手がけた屋形船が船着き場に戻ってくるところに、たまたま出くわしました。乗船していたお客様たちの反応はどうだろうとおもってしばらく様子をみていると、「とても良かった! ありがとう」と店員さんにおっしゃっていたんです。そうやって喜んでいただいているところを実際に見ると、この仕事をしていてほんとうに良かったなと感じますね。

PROFILE

平野大偉DAI HIRANO
デザイナー
1977年生まれ。宝塚造形芸術大学卒業。株式会社フィアットでデザインに携わった後、2002年に株式会社相合家具製作所へ入社。その後、株式会社リックデザインを経て、2014年イチミリデザイン設立。飲食店舗や企業オフィスの空間設計、ブランディングを手がけている。
聞き手
牧尾晴喜HARUKI MAKIO

建築やデザイン関係の翻訳・通訳などを通じて、価値ある素材やデザインがより多くのひとに届くようにサポートしている。フレーズクレーズ代表。
一見普通だけれどちょっとこだわりのある家具や空間が好き。

このコラムでは、人々が集う居心地のよいインテリア空間をつくりだしている、国内外で活躍されているデザイナーへインタビューをしていきます!

COLUMN
連載記事

ブランディングにつながる空間づくり (全3回)