日本をふくめ世界28カ国105都市、485以上のコミュニティ型ワークスペースを展開・運営するWeWork。WeWork Japan合同会社(以下WeWork Japan)のクリエイティブ ディレクターであるアッシュ・エヴリィさんに、グローバル共通のデザイン要素、日本や各地域で特有の要素を活かしたデザインについてうかがいました。
-まずは、WeWorkの特徴についてお聞かせください。空間や設備を提供するだけのシェアオフィスではなく、コーヒーやビールが飲み放題だったり、利用者同士の交流機会を促す様々な仕掛けなどが印象的です。
アッシュ・エヴリィさん(以下:エヴリィ):私たちは、単にオフィスをデザインしているのではなく、コミュニティのためにデザインをしています。デザインするうえで、まずメンバーのことを考えているんです。WeWorkのオフィスに入ってきたときに、家にいるような気分で寛ぎ、自分専用の場所だと感じてほしいですね。そんな気分で誰かと会ったり一緒に仕事をしたりしてもらえると最高だと考えています。
利用するメンバーたちは、会社の規模や雰囲気もさまざまです。一人や二人ということもあれば、10人や100人といった規模の場合もありますし、カジュアルな服装のメンバーもいれば、スーツ姿のメンバーもいるんです。ですから、オフィスで使う家具や素材、照明も多様なものを用意しています。メンバーのそれぞれが自分にあった方法で寛げるような空間デザインを大事にしているのです。

©WeWork
-設計やデザイン面で、メンバー同士の交流を促す工夫にはどのようなものがありますか?
エヴリィ: 設計の面からみると、たとえば通路では、敢えてすこし狭めにデザインしている部分があるんです。そういった場所で誰かとすれ違うときには、お互いを意識し、言葉を交わすきっかけとなり、新たな会話が始まるかもしれません。そういう会話のきっかけとなるよう、パントリーと呼んでいる給湯スペースやキッチンを設けて、コーヒーを用意しているんです。私たちは、コミュニケーションや交流を促す空間づくりをしています。同僚だけではなく他社の社員とのコミュニケーションでもいいんです。いったん会話が始まれば、そこから素晴らしいことが生まれます。私たちは空間をベースとして、コミュニティを作りたいと考えています。

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-家具のデザインについてはいかがですか?
エヴリィ: 家具選びにおいて大切にしているのは、時代を超越するということです。流行を追いすぎると、数ヶ月、あるいは一年くらい経って流行が廃れたら、その空間は殺風景なものになってしまいます。今だけでなく1年や2年後、5年後も快適な空間であることですね。
(*この記事は、英語でおこなったインタビューを日本語でまとめたものです)
聞き手:牧尾晴喜 HARUKI MAKIO
建築やデザイン関係の翻訳・通訳などを通じて、価値ある素材やデザインがより多くのひとに届くようにサポートしている。フレーズクレーズ代表。一見普通だけれどちょっとこだわりのある家具や空間が好き。