サローネ本会場のハイライトを一気に紹介
前回は、主にフォーリサローネでの展示を中心にご紹介しましたが、Vol.3である今回は、本会場であるロー・フィエラミラノでの展示をハイライトで振り返ります。

「Euroluce International Lighting Forum」の会場として、フィエラ・ミラノ・ロッソに設置された藤本壮介による「The Forest of Space(空間の森)」。自然の生命力を模倣し、来場者が自由に動き、交流できる可変的な円形劇場として設計されています。
MATTIAZZI

Stelo

ZONA
ロンドンのデザインスタジオ「Industrial Facility」のサム・ヘクト(Sam Hecht)とキム・コリン(Kim Colin)によってデザインされた「Stelo」は、伝統的なウィンザー椅子を現代的に再解釈した作品です。Mattiazziの高い木工技術と先進的な数値制御加工を駆使し、無駄のない構造と美しい曲線を実現しています。Studio AKFBのアナヒタ・カマリ(Annahita Kamali)とフローリアン・ベーム(Florian Böhm)による「ZONA」は、Mattiazziの家具と調和するようにデザインされたラグコレクションです。AI生成画像を基にした抽象的なパターンが特徴で、ニュージーランド産の手紡ぎウールを使用し、ネパールで手織りされています。伝統的な家具の再解釈や昔から引き継がれている手法への原点回帰などは今年のミラノサローネによく見られた傾向だと感じます。
マルニ木工

マルニ木工の展示ブースは、木の温もりとシンプルな美学が感じられる空間となっており、各アイテムが調和するように配置されていました。特に、セシリエ・マンツ(Cecilie Manz)による「MAKU 」は、空間を緩やかに仕切り、安らぎや静けさを生み出すデザインが特徴です。
PLANK

SOL

SOMBRA
PLANKはコンスタンティン・グルチッチ(Konstantin Grcic)による新作ラウンジチェア「SOL」と「SOMBRA」を発表しました。この作品は、「太陽と影(Like Sun and Shadow)」というテーマでデザインされ、二つで一対の関係を持つ椅子として注目を集めました。
MAGIS

BISHOP

SQUASH
MAGIS(マジス)は、イタリアの伝統と革新を融合させた新作を発表し、注目を集めました。コンスタンティン・グルチッチ(Konstantin Grcic)がデザインしたBISHOPはわずか1mmのステンレススチール製のフレームに鏡面仕上げを施し、直線的なラインと垂直的な座面が特徴的なチェアです。「SQUASH」は、ポール・クックセッジ(Paul Cocksedge)によって手掛けられ、物理的な「圧縮」の力をテーマに、形態と感情を融合させた革新的なデザインが特徴です。鏡面仕上げやグロッシーな仕上げなども今年のミラノサローネの特徴として挙げられます。
Ritzwell

Ritzwellは、8年ぶりとなる新作ソファを含む3つの新製品を発表しました。これらの新作は、同社のデザイン哲学である「日本の美意識と現代的な感性の融合」を体現しています。
SANCAL

CANTO

CITA
スペインの家具ブランドSANCALは、革新的で詩的な展示「WorkArt. The Beauty of Making」を発表しました。MUT Designによるモジュラーソファで、石切り場の彫刻的な形状からインスパイアされ、無垢のような一体感と柔らかな曲線が特徴のCantoや、Note Design Studioによる、会話を促進するためのシリーズ、Citaなどが展示されました。
arper

イタリアの家具ブランドarperは、「The Project of Living」をテーマに、持続可能性、機能性、そして美しさを融合させた新作を発表しました。同ブランドは、環境への配慮と人々の生活様式の変化に対応するデザインを追求しています。
PEDRALI

PEDRALIのブースは、ミラノのDWA Design Studioによってデザインされ、約1,000平方メートルの広さを誇ります。アメリカの「Case Study Houses Program」に触発されたこの空間は、水平的な空間構成と幾何学的な構造を特徴とし、インドアとアウトドアの境界を曖昧にすることで、視覚的な連続性と調和を生み出しています。
Blå Station

P.Y.R

VILLHEM
スウェーデンの家具ブランドBlå Stationは、持続可能性、機能性、そして美しさを融合させたP.Y.RやVILLHEMなどの新作と既存コレクションのアップデートを発表しました。同ブランドは、環境への配慮と人々の生活様式の変化に対応するデザインを追求しています。
Kartell

Kartellの展示のテーマは “Future Perspectives”。赤色を基調とし、Kartellの歴史と情熱的な精神を象徴しています。
moooi

moooiは、ミラノの主要3拠点で展開されましたが、ローフィエラ会場では、moooiの“魔法的リアリズム”とも言える世界観が余すところなく表現されており、来場者を非日常体験へと誘う空間設計となっていました。特にHaybale Lounge Chairや生き物のように揺れるBeta Living Pebbleは、デジタルやAIに頼らず五感による没入の価値を再認識させる存在感を放っていました。
まとめ
2025年のミラノサローネでは「THOUGHT FOR HUMANS(人間のための思考)」をテーマとしていましたが、再生樹脂など持続可能性を考慮した素材の組み合わせや有機的で柔らかい印象のデザイン、クラフトマンシップや原点回帰などをテーマに展示を展開しているブランドが多かったように思います。
デザイン的には最近のコンテンポラリーな流れを受けつつも、癒やしや安らぎなど、家具に本質的な心地よさを求める時代の到来を告げるような展示でした。

SOGOKAGUでは毎年ミラノデザインウィークに視察に伺い、近年は、ショールームにて開催されるNEW PRODUCT EXHIBITIONにてセミナーを開催し、レポートにまとめております。今年の資料ご希望の方は問い合わせフォームからお問合せください。